日常的にパソコンやスマートフォンを利用していると、「*」という記号を目にしない日はありません。

この記号は一般的に「アスタリスク」と呼ばれ、計算機の世界から文書作成、プログラミングまで幅広い分野で活用されています。

しかし、その用途があまりに多岐にわたるため、すべての機能を正確に把握している方は少ないかもしれません。

本記事では、アスタリスクの基本的な意味や読み方から、IT現場で欠かせない具体的な使い方まで詳しく解説します。

アスタリスクとは?記号の由来と意味

アスタリスク(asterisk)は、タイポグラフィにおける約物(記号)の一つです。

この名前は、ギリシャ語で「小さな星」を意味する「asteriskos」に由来しています。

その名の通り、中心から放射状に数本の線が伸びた、星のような形をしているのが特徴です。

古代ギリシャ時代から注釈を示す記号として使われてきた歴史がありますが、現代のIT社会ではそれ以上に重要な役割を担っています。

コンピュータの世界において、アスタリスクは単なる装飾ではなく、特定の命令や意味を持つ機能記号として定義されています。

アスタリスクの読み方と表記

日本語では一般的に「アスタリスク」と読みますが、人によっては「アステリスク」と呼ぶこともあります。

どちらも間違いではありませんが、IT業界の標準的なカタカナ表記としては「アスタリスク」が広く定着しています。

また、形状が星に似ていることから、口語的に「ほし」や「スター」と呼ばれることも少なくありません。

特に電話のプッシュボタンにある「*」については、「星印(ほしじるし)」や「スター」と呼ぶのが一般的です。

パソコンでの基本的な使い方:計算と演算子

パソコンでアスタリスクが最も頻繁に使われる場面の一つが、算術計算です。

数学の授業では掛け算の記号として「×」を習いますが、コンピュータのキーボードには標準的な「×」のボタンが存在しません。

そのため、プログラミングや表計算ソフトの世界では、アスタリスクを「掛け算」の記号として代用します。

表計算ソフト(Excelなど)での活用

Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシートにおいて、数式を入力する際にアスタリスクは必須の記号です。

例えば、「5かける10」という計算をセル内で行いたい場合、以下のように入力します。

text
=5*10
実行結果
50

このように、数値と数値の間にアスタリスクを挟むことで、掛け算の実行をコンピュータに指示できます。

表計算ソフトにおける主要な四則演算の記号を以下の表にまとめました。

演算の種類算術記号パソコンでの記号
足し算++
引き算-–
掛け算×*
割り算÷/

ワイルドカードとしての強力な機能

IT分野におけるアスタリスクのもう一つの重要な役割が、「ワイルドカード」としての機能です。

ワイルドカードとは、検索などの際に「どんな文字にも一致する代わりの記号」として使える特殊な文字のことです。

アスタリスクは「0文字以上の任意の文字列」を表すために使用されます。

ファイル検索での活用例

例えば、Windowsのファイルエクスプローラーで特定のファイルを探す場面を想像してください。

「report」から始まるすべてのExcelファイルを探したい場合、「report*.xlsx」と入力して検索します。

このとき、アスタリスクの部分には「_2023」や「_final」など、どのような文字が入っていても検索結果に表示されます。

この機能を利用することで、正確なファイル名が思い出せない場合でも目的のデータに辿り着くことが可能です。

データベース(SQL)での活用

システムの裏側で動くデータベースを操作する「SQL」という言語でも、アスタリスクは多用されます。

データベースのテーブルからすべての列(項目)のデータを取得したい場合、項目名を一つずつ書く代わりにアスタリスクを使用します。

SQL
-- 全てのカラムを選択する命令
SELECT * FROM users;

この「SELECT *」という記述は、エンジニアの間では日常的に使われる定番の表現です。

プログラミング言語における高度な役割

プログラミングの世界では、アスタリスクには単なる掛け算以上の複雑な意味が持たされています。

使用する言語によってその役割は異なりますが、代表的な例をいくつか紹介します。

C言語やC++におけるポインタ

C言語などの低レイヤーに近い言語では、アスタリスクは「ポインタ」を扱うために使用されます。

変数のアドレスを格納するポインタ型を宣言したり、そのアドレスが指すメモリの内容を参照(デリファレンス)したりする際に使われます。

C++
// ポインタ変数の宣言
int *ptr;
// 値へのアクセス
int value = *ptr;

これは初心者にとっての大きな壁の一つですが、コンピュータのメモリを効率的に管理するためには欠かせない記法です。

Pythonにおける特殊な引数

人気のプログラミング言語であるPythonでは、関数の引数にアスタリスクを付けることで、可変長引数(個数が決まっていない引数)を受け取ることができます。

Python
def my_function(*args):
    for arg in args:
        print(arg)

my_function("Apple", "Banana", "Cherry")
実行結果
Apple
Banana
Cherry

また、2つのアスタリスク(**)を使うことで、キーワード付きの引数を辞書形式で受け取ることも可能です。

このように、アスタリスクはコードをより柔軟に記述するための便利なツールとして機能しています。

文書作成とコミュニケーションでの使い方

アスタリスクは、プログラムや計算以外にも、日常的なテキストコミュニケーションで便利な役割を果たします。

注釈や脚注のマーク

レポートや書籍などで、本文中の言葉に対して補足説明を加えたい場合、対象の単語の右上にアスタリスクを添えることがあります。

そしてページの最下部(脚注)に「*1 ……」といった形で詳細を記述するのが伝統的な用法です。

複数の注釈がある場合は、「*」「**」「***」と数を増やして区別することもあります。

パスワードの伏せ字

セキュリティ上の理由から、パスワードを入力する画面では入力した文字が「*」に置き換わって表示されることがよくあります。

これは、背後から画面を覗き見られる「ソーシャルエンジニアリング」を防止するための重要な仕組みです。

このように情報を隠蔽することを「マスキング」と呼び、アスタリスクはその代名詞的な記号となっています。

チャットでの修正依頼

ビジネスチャットやSNSでは、タイポ(打ち間違い)を訂正する際にアスタリスクが使われる独自の文化があります。

例えば、「よろしくおねあがいします」と送ってしまった直後に、「*お願いします」と送信することで、前のメッセージを修正したことを示します。

これはプログラミング由来の慣習ではありませんが、ネット上の共通認識として広く普及している使い方です。

キーボードでの入力方法

アスタリスクを入力する方法は、お使いのキーボードの種類によって異なります。

一般的な日本語キーボード(JIS配列)の場合、「Shiftキー」を押しながら「け」のキー(右側にある「:」のキー)を押すことで入力できます。

一方で、デスクトップパソコンなどでテンキー(数字キー)がある場合は、テンキー内の「*」キーを直接押すのが最も簡単です。

スマートフォンでは、数字入力モードや記号入力モードの中に必ず含まれています。

アスタリスクと似ている記号との違い

アスタリスクと混同されやすい記号に、日本語の「※(こめじるし)」があります。

「※」は主に日本語特有の注釈記号であり、アスタリスクとは全く別の文字として扱われます。

プログラミングやファイル検索において「※」を使っても、アスタリスクとしての機能は果たさないため注意が必要です。

ITの文脈で「ほし」や「アスタリスク」が必要な場合は、必ず半角の「*」を入力するようにしましょう。

まとめ

アスタリスク(*)は、ITの世界において非常に多機能かつ重要な記号です。

計算機における掛け算の演算子として始まり、ファイル検索を効率化するワイルドカード、さらにはプログラミングにおける高度な制御まで、その用途は驚くほど多岐にわたります。

また、日常的な文書作成における注釈や、セキュリティを守るための伏せ字としても、私たちの生活に深く根付いています。

一見小さな星のような記号ですが、その背後にある意味や使い方を正しく理解することで、パソコンの操作やプログラミングの理解度は格段に向上するはずです。

今後、画面上でこの小さな記号を見かけた際は、それがどのような役割で使われているのかをぜひ意識してみてください。